文科相「自信持ってお薦めできず」 英語民間試験2024年度目指す
FNN PRIMEより抜粋:
https://www.fnn.jp/posts/00426537cx/201911011147_cx_cx
2020年より英検、GTEC、TOEICなどの英語民間試験が大学入学共通テストに導入される予定でしたが、それが本日2019年11/1(金)、突然延期されると発表されました。
学生はもちろんそうですが、学校やテストを実施する関連企業などにも大きな混乱を招いているようです。
”高校3年の4~12月に受けた最大2回の成績が、出願先の大学に提供される”ということになっていた為、既に2019年も年末になっていることを考えると特に現役高校生達にとっては特にテスト勉強などの面で影響が大きそうですよね。
4月だともうすぐなので対策用に教材を買ったご家庭も多いのではないかなと思います。
という訳で今日はそもそも英語民間試験って何なの?というところから延期の原因までを解りやすくまとめてみました。
今回の記事の内容を簡潔にまとめると下記。
- 大学入学共通テスト・英語民間試験とはそもそも何なのか?
- どうして実施が延期になったのか?
では早速見ていきましょう。
目次
大学入学共通テスト 英語民間試験とはそもそも何なのか?
英語民間試験とは読んで字のごとく民間事業者等により実施されている英語のテストです。TOEICや英検が一番分かりやすい例ですね。
今回話題になっているものに関して言うとテスト自体は同じものですが大学の受験の一環として行われるものになります。
文部科学省では”大学入試英語成績提供システム”と呼んでいます。
どうして英語民間試験を導入することになったのか?
どうして民間の試験を導入することになったのか?ですが、一番大きな要素はやはり現在の”センター試験”から”大学入学共通テスト”への変更になります。
背景としてはこれからの時代は単なる知識ではなく、思考力や判断力なども重要になってくるという文科省の見解から、基本的にマークシート方式で”知識の量を問う”形だったセンター試験のテスト方式を見直し、もっと思考を促す形のテストに変えようというところから始まっています。
その為、英語だけではなく数学や国語なども記述式の問題が新たに追加されるなどの変更が検討されています(その分テスト時間も伸ばすとのこと)。
また今回のトピックである英語はその中でもかなり大きな変更となっています。簡単にまとめると下記のような流れです。
- 前述の”大学入学共通テスト”への変更によりテスト内容の見直し
- それに伴い英語4技能を評価することに
- 同一日程一斉実施型試験により「話す」「書く」能力を含めた試験を実施することは難しい為、民間試験を利用することに
最初の”大学入学共通テスト”への変更によりテスト内容の見直し”に関しては既に説明してますので英語4技能のテストの実施のところから詳細を見ていきましょう。
文部科学省の説明
文部科学省では下記のように説明しています。
○ なぜ、大学入試で英語4技能を評価することが必要なのですか。
グローバル化が急速に進展する中、英語によるコミュニケーション能力の向上が課題となっています。
このため、高等学校学習指導要領では、多様な人々と、互いの考えや情報を主体的に伝え合うため、英語の「読む」「聞く」「話す」「書く」の4技能を総合的に育成することを求めてきましたが、高校3年生の英語力は特に「話す」「書く」に課題があることが調査結果から明らかとなっています。さらに、大学においても、グローバル化時代を担う人材を育成するためには、これら英語4技能の習得は重要です。
つまり現状スピーキングやライティングなどのアウトプットに関してスキル不足であるという点を政府としても認識していて、その辺りも今後はカバー出来るようになっていってほしいということで英語4技能の評価も行っていくということですね。
ただ、これは入試でどうこうするのではなくて小・中・高校での授業内容を先に変えた方がいいですよね。いいアウトプットするにはインプットを先によくする必要がある筈なので何故先にテスト(アウトプット)を変えるのかがちょっと謎です。
また、では何故民間試験を導入することにしたのか?という点ですが、下記のように説明されています。
○ なぜ、大学入試で英語4技能を評価するために、民間の資格・検定試験を活用するのですか。
大学入試は、高等学校段階で修得した知識や技能等を適切に評価することを目的としていますが、英語に関しては、約50万人規模で同一日程一斉実施型試験による共通テストとして「話す」「書く」能力を含めた試験を実施することは、日程面も含めて現状において実現は極めて困難です。
一方、民間の資格・検定試験は、4技能を総合的に評価するものとして社会的に認知され、高等学校教育や大学入学者選抜で活用が進んでいます。
中略
このため、大学入試において4技能を評価することができるよう、現に民間事業者等により広く実施され、一定の評価が定着している資格・検定試験の活用を推進することとしました。
文部科学省該当ページ:
http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/koudai/detail/1420229.htm
つまり簡単に言うと50万人規模で全国一斉テストみたいな形だと実施に無理があるので、高校3年の4月から12月までの期間で大学受験用にTOEICなど民間企業の英語能力テストを受験生に受験してもらい(2回まで受験可)、そこから英語の成績を提供してもらうというシステムにしようということになったようです。
どうして英語民間試験の実施は延期になったのか?
さて、ここでどうして今回実施が延期になったのかですが、冒頭でも触れたように端的に言うと”自信を持って薦められないので”ということのようです。現時点で2019年の11月でもう年末ですので来年2020年から開始の予定だったことを考えるとちょっと遅すぎな気はしますが…。
萩生田文科相は下記のようにコメントされています。
「経済的状況や居住地にかかわらず、等しく安心して受けられると自信をもっておすすめできるシステムになっていないと判断した」
日本経済新聞より抜粋:
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO51671970R01C19A1MM0000/
僻地の学校に通う学生やそれぞれの家庭の経済的事情などが異なることを考えると確かに妥当なのかなという気はしますが、
これに関して言うと萩生田文科相は10月末に裕福な家庭の子は何回も受験して事前に準備も出来るかもしれないが、何度も受けられない子は自分の身の丈に合わせて受験してくれればといった発言をし、謝罪会見に追い込まれています。
なので客観的に見ると色んな点を熟慮して決めたというよりは”身の丈”発言で炎上してしまった為に鎮火的なことでまた考え直しますという風な流れになったのかなという風にも見えますね。
ただ、もしそうだとすると準備に奔走していた人達がかなり気の毒ではあります。
英語民間試験の一角だったGTECを提供するベネッセコーポレーションのサイトではまだ2020年度版 大学共通テストの文字がTOPに表示されています。
個人的には上記のビデオでIELTSやケンブリッジ英検も含まれていたことが気にはなりました。
TOEICはIELTSやTOEFLなどと比べると難易度は雲泥の差(TOEICの方がかなり簡単です。受ければ解ります)なので”民間”というだけのくくりであまり門戸を広げると実際のスキルはよく判らなくなるのではないかなという気がします。
ネットの比較だとあまり差がないように表にされていることが非常に多いですが、TOEICで満点をとっていてもIELTSだと半分ぐらいしか出来ないというのは普通にありえるので、その辺も考慮した方がいいのかなとは思います。
まとめ
という訳で今日は英語民間試験の実施が延期になった件に関しての原因と英語民間試験とは何なのかに関するまとめでした。
正直言うと萩生田さんが言っていることに関しては特に間違いはないと思うので何故あんなに炎上してしまったのかが若干理解出来なかったりはします。
ご本人も例として予備校に通う学生を挙げられてましたが、それを言うと中学・高校の間に留学する子や塾に通う子、高い教材でもポンポン買ってもらえる子もいれば、そんなものとは縁遠い子もいると思います。
でもそれはしょうがないですし普通ですよね?
我々はソ連に暮らしている訳ではない訳ですから。
それに貧乏な子が出来ないかというとそんなことはなくて、学校の教材で勉強するだけでも読み書きならかなりカバー出来る筈です。今はインターネットも便利になってますし、独学で英語の勉強も出来る時代です(家にはインターネットもないというご家庭もあるかもしれませんが)。
私がオーストラリアにワーキングホリデーに行っていた頃、知り合いに高い語学学校に通って毎週か毎月1回ぐらいの頻度でTOEICの模擬テストか本番のテストを受けている子がいましたが、特にそれで劇的にスコアが上がったりはしていませんでした。
要は本人次第です。
地頭のよさもありますが、本人の努力次第で結果は変わってきます。そういう意味ではちょっと世間の反応が過敏過ぎたのではないかなという気もします。
また、今回は結果的に実施見送りになってしまいましたが、日本人のスピーキング・ライティング能力の向上の必要性が見えるエピソードではありましたね。
アラサー英語ではこれからも4技能すべての向上を独学でも行える情報、大人になってからでも出来る勉強法を更新していきますので、興味があれば是非確認してみてください。
ではあなたの明日が、きっとまた素敵になりますように。
スヌス